2017年1月7日土曜日

知識を身につけても使えるようにならないのはなぜか

昨日、ある方にスペイン語学習のカウンセリングを行いました。
来てくださったTさん、ありがとうございました。

これまで合格された検定や、スペイン語を使った経験などをお聞きしたところ、
初中級レベルは十分に習得されている方で、
この先、どのように勉強を続けていったらいいか、
ということで、目指すべき姿を一緒に考えたり、
こちらにある情報を提供したりしました。

語学を上達させたいと思ったら、手段は無数にあります。

まず、外国語を使えるようになるには、さまざまな要素が必要です。
語彙・文法・構文などの知識は、独学でも身につけることができます。
しかし、なかなか使えるようにならない、というのが、
カウンセリングに来てくださったTさんの悩みでもありました。

では、そのような学習者が、
中級レベル以上を目指すとしたら、何が必要でしょうか。

それは、たとえば、長文を読むのであれば集中力が、
手紙を書くのであれば失礼にならないような態度が、
映画のセリフを聞き取るのであれば文脈を推測する想像力が、
ネイティブを会話で楽しませるためにはサービス精神が、
などといった、「社会人としての言葉を使うスキル」が必要になります。

当然、これらは語学の要素ではありません。
しかし、これらのスキルを身につけていながら、
外国語でこのようなことが行えないのはなぜか。

それは、学んだ語彙・文法・構文を、
無意識で行えるレベルにまで熟達させていないからです。

昨年末、このような本を読みました。



『学びとは何か』(今井むつみ、2016年、岩波書店)


この本の「第4章 学びを極める」の中に、言語の学習にふれながら、

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つまり、熟達といっても、経験を積むことで、最初はできなかったことが素早く、よどみなく、正確にできるようになるというレベルの熟達と、それを超えて、その分野で一流となり、さらに超一流になるレベルの熟達とがある。

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とあります。

熟達を目指すためには、経験を積むことが必要なのです。
経験を積むとは、時間を重ねることです。

時間を重ねるためには、どうすればよいか。

答えを出すのはTさんですが、
Tさんは今日のリスニング体験クラスと、もう1つ別のクラスも、
見学に来ると言ってくださいました。

そんな機会をイスパニカが提供できることを、
私はとてもうれしく思っています。