2017年3月16日木曜日

私たちにはまだ言葉がある

昨日はなかなかハードな1日で、疲労困憊して帰宅したのですが、
気分転換に、と本棚から1冊の本を出してパラパラながめていたら、
俄然元気になり、また持ち帰った仕事に取り組むことができました。

そんな私の“やる気スイッチ”を押してくれたのは、こちらの本。



『寝るまえ5分の外国語』(黒田龍之助、白水社、2016)

昨年末のメルマガでも紹介した本です(2016年12月22日配信)。
そのときの紹介文はこちら。

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「語学書」を物語やエッセイなどの他の書籍と同じように「書評」した文章を集めた本。言語の特徴を解説するでもなく、教育的な観点から優劣をつけるでもなく、語学書から立ち現れる著者の姿勢を汲みとり、書籍としての優れた点、細かな工夫などを見つけ出し、軽妙な言葉で紡いでみせる。語学好き、そしてエッセイ好きにはたまらない。

もちろんスペイン語で何が取り上げられているかは、本を開いて真っ先に確認したところ。『スペイン語ジェスチャー小辞典』、『解説がくわしいスペイン語の作文』、『スペイン語検定対策5級・6級問題集』、『スペイン語初学記』の4冊が紹介されている。

『スペイン語ジェスチャー小辞典』は1998年刊行。「背の高さを示すジェスチャー」が地域によって異なるということが解説されていることを受けて、「この『小辞典』を読んでいると、スペイン語を知らなくてもその多様性を楽しむことができるので、ちょっぴり得した気分になる。」とある。これだけで、スペイン語を学んでいることが誇らしくなる私もおめでたい。

「おわりに」では、過去の優れた語学書についてふれ、その将来を案じている。この点については非常に理解できると同時に、個人的には、書籍ではない、アプリなど別の形での学習媒体が充実していくと予想している。そしてその作成者に求められるものは、語学書の著者に求められるものと変わらないのではないかとも思っている。

「寝るまえ5分の」というのは、外国語の学習にも最適な方法としてタイトルにしたとあるが、この本が枕元にある間はスペイン語の単語など覚えられそうにないほど、読んで楽しい書評集である。

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……今、あらためて自分の書いた文章を読んで、
スペイン語の学習がなかなか進まないことを言い訳しているのは、
昨年末から変わっていないのだと苦笑してしまいましたが、
それより何より、この本を読んで、
外国語学習に関わる仕事をしていられる自分がいかに幸せか、
ということを、あらためて感じました。

外国語を学ぶのは楽しいのです。
苦しいけれど、楽しくて仕方ないのです。
それを、今これを読んでくれているあなたに伝えたい。

その思いで、毎日毎日、伝われ! 伝われ! と念じながら
私はイスパニカのすべてに取り組んでいます。