2020年4月10日金曜日

記事「■ペルー:COVID-19で広がる遠隔教育システム」をシェアします

本日配信の『CRONICA』レギュラー版の記事を1本、シェアいたします。現在のペルーの遠隔教育に関する記事です。

教育にかかわる方々も急激な変化にさらされ、大変な思いをされていると思います。我が家の子供たちを見ていても、学校での学習というのが、これまでの知識や経験、社会的努力の積み重ねによって成り立ってきたものなのだということがわかります。

ご興味ある方にお読みいただければ幸いです。



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■ペルー:COVID-19で広がる遠隔教育システム

  ペルーでは新型コロナウイルス対策として、3月16日23:59時より12日まで国境封鎖と移動制限を行なっている。教育機関も休校になっているが、生徒たちが家庭で学習を継続するための遠隔教育システムの導入が本格的に始まっている。これは別の場所で教師が行なった授業を収録し、アニメーションなどを組み込んだ編集をしてテレビやラジオで決められた時間に流すというものだ。生徒たちは自宅にいながらにして教育省が制作した講義を通して学習を進めることができ、すでに今月19日分までプログラムが公開されている。対象は6〜16歳。年齢を2歳ずつに分けて1時間ずつ、月曜から金曜まで曜日ごとに「国語」「数学」「体育」などのクラスが放送される。本システムがスタートした3月23日には「数百万の小学生が同システムにより授業を受けた」と6日に開かれた記者会見でマルティン・ビスカーラ大統領は満足げに話した。

  この“Aprendo en Casa”(家で学ぶ)と名付けられた遠隔教育システムは、全国600万の初等、中等、特殊教育の生徒を対象としたもので、350を超える地域ラジオ局、国営テレビ放送、全国民間ラジオ・テレビ協会加盟メディアが教育コンテンツの配信に協力するとしている。ペルーには全人口の13%以上が話すとされるケチュア語など40を超える言語が存在しているが、これらの言語を使用しているアンデスやアマゾン各地方に暮らす先住民の子供たちなどへも遠隔教育が提供される。ただ貧困地帯では電波状態が悪かったり、受像機が古いために放送を継続して見られなかったりする家庭も少なくない。ビスカーラ大統領は成功を強調しつつ、「困難や欠点を修正しながらやっていく」と述べているが、国内に存在する貧困と地域格差の是正が遠隔教育システム普及にとっての大きな課題のひとつである。

※イスパニカ『CRONICA』2020年4月10日配信 第2673号より

【翻訳・編集/國貞草兵】