2018年10月13日土曜日

<黒い本プロジェクト>イスパニカ受講生からのお話

イスパニカの本橋が発起人となり、8月3日からスタートしたEl libro negor de los coloresの翻訳出版プロジェクト。クラウドファンディングは今月末までとなっています。




本の内容が、目の見えない男の子にとっての色の世界ということなのですが、実は、イスパニカにも、白杖を持って通ってくださっている生徒さんがいらっしゃるのでした。

今回の翻訳プロジェクトをきっかけに、受講生の宮内さんからお話を聞かせていただきましたので、こちらでご紹介させていただきます。



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ーースペイン語を学んでいるのはいつからですか? 始めたきっかけは何でしたか?

大学生の時、第2外国語としてスペイン語を始めました。実はそれまではイタリア語を習いたいと思っていたのですが、私の学校ではイタリア語は上級生しか履修出来なくて。それなら、言葉が似ていそうなスペイン語を習って、あとでイタリア語を習おうと思っていました。でも、スペイン語を始めてみたら楽しいし、様々な国で話されているのが分かって、結局4年間スペイン語を学び続けました。


ーー視覚のことをお聞きしてもよいですか? よければ、今の状態と、それがいつからか、ということを教えて下さい。

小さい頃は片目が少しだけ見えていました。なので、色の記憶はあるんです。病気が進行して、7歳からは両目とも視力はありません。


ーー視覚障がいがある状態でのスペイン語学習は、一般の人たちとどんな点が違うと思いますか。あるいは同じだと思いますか。

点字のテキストを使ったり、黒板に書かれていることを読み上げてもらったりする点が違うところでしょうか。あと、テキストに書き込みが出来ないので、重要な表現などはノートに書き写すようにしています。

スペイン語の点字は、アルファベットもアクセント記号も表せるので、一般の文字と仕組みは同じです。ちなみに私は、点訳のボランティアの方に依頼してテキストを点字にしてもらって使っています。


ーー今回のプロジェクトのことをお伝えしたとき、この本のことをご存じだったので驚きました。この本に対する印象を教えてください。

初めてこの本を見た時は、まだスペイン語があまり出来なかったので内容はよく分かっていませんでした。ですが、「黒い本っておしゃれだな」と思ったことと、点字が付いていることに驚いたことを覚えています。

今回、久しぶりにこの本のことを思い出して、本の中身をもっとよく知りたいと思いました。この本は子供はもちろんですが、大人がゆっくりと味わえる作品だと思います。

豊かな色の世界に触れて想像できるこの本が、日本でも広まったらステキですよね。

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宮内さんは平日夜のクラスに通ってくださっていたのですが、お仕事が忙しくなってしまったとのことで、現在はお休みされています。またいつか、通学いただける日を、イスパニカ一同、お待ちしています。


その頃には、こちらのプロジェクトも達成していることを願いつつ…!