2017年7月15日土曜日

村上春樹さんの言葉

今年もニュー・スパニッシュ・ブックスの選考が進行中です。

ニュー・スパニッシュ・ブックス(NSB)とはスペイン大使館によるプロジェクトで、スペインの本が日本語翻訳で出版されるよう、日本の出版界に新しく良質な出版物を紹介する取り組みです。毎年、書籍とサイトが更新されています。詳しくはこちら



5月末に作成した「かわらばん¿Cómo estamos?」(受講生向けのフリーペーパー)でもこのプロジェクトを紹介したのですが、それをたまたま目にした友人が、「いいなあ、こういう“文化的雪かき”。」と口にしました。

「文化的雪かき」とは、村上春樹さんの言葉だそうです。私はそのとき、友人から受けた説明を、「英文学だけが外国文学じゃない、スペインの書籍も文化的価値があって、それを日本で一生懸命紹介することにとても大きな意義がある」というような意味だと受け取ってしまいましたが、今、この言葉を調べてみたら、友人が言ったのは、50人くらいしか読まない私のフリーペーパーのことを指していたのかな(!?)。

取り上げられる書籍は文学作品だけではありませんが、選考過程に残った書籍について知ると、ライブ感覚で文学を享受している感覚があります。今現在の歴史的状況、社会的状況だからこそ書かれた作品、今だからこそ読んでほしい作品、といった書籍のもつ力を感じます。

昨年のNSBで選ばれた“El Fuego en el que Ardo(ぼくを燃やす炎)”も、まさにそんな作品です。この書籍は、YA(ヤングアダルト)と呼ばれる中高生向けの児童書で、ゲイとして生きる高校生の苦悩を描いています。LGBT(性的マイノリティ)という言葉が認知されつつある一方、まだまだつらい思いをする人がいて、悲しい事件が起きてしまうこともあるこの日本に、この書籍を翻訳出版したい、という試みが、現在、サウザンブックスさんによってクラウドファンディングになっています。スペインの文学作品が1冊でも多く紹介されてほしい、という意味で、イスパニカもこの挑戦を応援しています。プロジェクトは8月21日まで。ご興味ある方、ご賛同いただける方は、ぜひこちらから、一緒に応援してください!