2018年7月29日日曜日

スペイン語関連の映画を観るなら

暑中お見舞い申し上げます。

この夏は、スペイン語の映画が多く公開されています。

・メキシコのリゾート地を舞台にしたミステリー『母という名の女』。

・大ヒットしたドキュメンタリー映画の続編『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』。

・伝説のフラメンコダンサーの波乱の人生を描いた『ラ・チャナ』。

・そして、両親を亡くした少女のひと夏を切り取った文学的な『悲しみに、こんにちは』。

どれも素晴らしい作品です。

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しかし、出かけるにも暑いし、混んでいるし…という方には、昨年公開された作品をご紹介。NHKラジオテキスト『まいにちスペイン語』にて紹介した映画のうち、Amazon Primeで見ることができる作品を選び出してみました。





<2017年3月号で紹介>
リメンバー・ミー
大ヒットしたディズニー/ピクサーの作品。モチーフになっているのはメキシコの「死者の日」(Día de muertos)。主人公の少年ミゲルは歌とギターを愛し、ミュージシャンになることを夢見ているが、靴屋を営む一家ではなぜか音楽は絶対禁止。「死者の日」のコンテストのため伝説の音楽家の墓に忍びこんで飾られていたギターに手をかけたミゲルは、死者の国に迷い込み、自分の先祖のガイコツたちに出会う…。
詳しくは→ 公式サイト
Amazon Pirmeへのリンク→『リメンバー・ミー


<2017年4月号で紹介>
サクロモンテの丘――ロマの洞窟フラメンコ
アンダルシア地方グラナダ県のサクラモンテ地区についてのドキュメンタリー。ここは数多くの伝説的なアーティストを生み出したフラメンコの聖地。作品は、そのコミュニティに深く入り込み、アーティストたちへの誠実なインタビューを通して、そこに暮らしていたロマたちへの迫害、水害、洞窟の破壊という悲劇や、そういった過去を乗り越えて強く生きてきた彼らの文化と魂を描いています。
詳しくは→ 公式サイト
Amazon Primeへのリンク→『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フラメンコ


<2017年5月号で紹介>
オリーブの樹は呼んでいる
20歳のアルマは、年老いて食事もしなくなってしまった祖父に心を痛めている。幼いころに売られてしまったオリーブの樹を取り戻せば祖父を救えると信じたアルマは、バレンシアからドイツへ無謀な旅に出る…。スペイン人にとっての土地や歴史、そして家族の意味を感じられると同時に、ヨーロッパの若者たちがスマホやSNSを使いこなして大人に対抗するシーンが印象的でした。監督は、1983年の映画『エル・スール』でヒロインのエストレリャを演じたイシアル・ボジャイン。
詳しくは→ 公式サイト
Amazon Primeへのリンク→『オリーブの樹は呼んでいる


<2017年7月号で紹介>
しあわせな人生の選択
原題のTrumanは、主人公の愛犬の名前。スペインのアカデミー賞である第30回(2016年)ゴヤ賞で、5部門を受賞した作品で、日本でも大ヒット、ロングラン上映となりました。マドリードに住む主人公フリアンは病気の治療を拒み、自分の最期に向けて身辺整理を始めている。そこへ親友であるトマスがはるばるカナダから訪ねてきて、4日間という滞在を一緒に過ごす…。“余命もの”とひとくくりにはできない、人生の温かさや友情、愛情を感じる映画でした。
詳しくは→ 公式サイト
Amazon Primeへのリンク→『しあわせな人生の選択


<2017年9月号で紹介>
エルネスト
オダギリジョーが、全編スペイン語で日系ボリビア人という主人公を演じたことでも大きな話題になりました。その日系ボリビア人とは、1941年にボリビアで生まれたフレディ前村ウルタード。キューバの医学校に留学したフレディは、チェ・ゲバラと人生を変える出会いを果たし、母国ボリビアの軍事政権と戦う決意をし、のちにゲバラから「エルネスト」と名付けられ、戦いの日々に身を投じていきます。日本・キューバ合作。
詳しくは→ 公式サイト
Amazon Primeへのリンク→『エルネスト


<2017年11月号で紹介>
ネルーダ 大いなる愛の逃亡者
1971年にノーベル文学賞を受賞したパブロ・ネルーダの逃亡生活を描いた、幻想的で叙情的なサスペンス。共産主義の政治家であったネルーダは、第2次世界大戦後、チリ政府から弾劾され、追われる身となる。ガエル・ガルシア・ベルナルが演じる警官ペルショノーがネルーダを追うが、繰り返される逃亡と追跡が、二人の心と関係を固く結びつけていく…という、実在の人物ネルーダを描きながらも、不思議で美しい作品です。政治や人々を動かす「詩」や「言葉」の力を再認識させられます。
詳しくは→ 公式サイト
Amazon Primeへのリンク→『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者

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Amazon Primeで見られる作品、ということで選びましたが、個人的なイチオシ作品『笑う故郷(原題:El Ciudadano Ilustre)』を紹介できなくて残念! なので、DVDへののリンクを張ります(笑)→DVD『笑う故郷』。

『笑う故郷』は、バルセロナに暮らすノーベル文学賞作家ダニエル・マントバーニが、生まれ故郷であるアルゼンチンのサラスという田舎町から「名誉市民」の称号を授けたいという招待状を受け取って40年ぶりに帰郷したところ、心温まるものだったはずの故郷での滞在が、少しずつ様子を変えていく…というブラックユーモアの傑作です。

公開当時、こちらのブログでも紹介記事を書いていました。→<アルゼンチン映画『笑う故郷』> 公式サイトはこちら

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いかがでしょうか。映画を観るのは、その国の文化を知るのに最適な方法だとも言われています。皆さんにとって、この夏のお気に入りの一本が見つかる助けになれば幸いです。