2017年12月14日木曜日

清水透先生のご著書紹介

昨日の記事でご紹介させていただいた清水透先生、現在の肩書きは慶應義塾大学名誉教授ですが、非常に寡作でいらっしゃいます。お名前の入った書籍で比較的新しいものがこちら。


『ラテンアメリカ 出会いのかたち』
(清水透・横山和加子・大久保教宏 編著、慶應義塾大学出版会、2010)

実は、1月27日のお話会も、先生ご自身が「もうひとつの歴史のかたち」というタイトルを考えてくださったのですが、そのときに、「『ラテンアメリカ 出会いのかたち』というのも、僕が考えたタイトルなんだよ」と教えてくださいました。



そのタイトル通り、この書籍には、14名の「ラテン系」執筆者、もといラテンアメリカを専門とされている方々による、ご自身の研究テーマを見出したきっかけと、そこに端を発する体験や思いが綴られています。

冒頭に掲載されているのが清水先生による「手づくりの旅」と題されたご文章なのですが、これが非常にエキサイティングで、さらにいまどきの言葉で言うと、非常に「エモい」、つまりエモーショナルなのです。

「東京外国語大学中南米親善隊」を名乗り、新聞に「中南米へ行ってみたい。情報がほしい」と記事を掲載して、多くの企業や組織から援助を受けて渡航した学生時代の最初の旅。その後、ほぼ毎年、年によっては年2回というペースでフィールドワークをするまでになる30代半ば。

そして、その頃に出会った1冊の本が転機となり、その100ページ足らずの本の翻訳と、その本の著者の家族から聞いた話で構成されたのが、



『コーラを聖なる水に変えた人々』
(リカルド・ポサス、清水透 著、現代企画室、1984)

です。

「著者の家族から話を聞き出す」と一言で言っても、そこには時間をかけた人間関係の蓄積があり、その上で「他者でしかあり得ない」と先生ご自身が書かれているような痛みや距離があります。

今回、イベントのための打ち合わせを何度かさせていただく中で、先生の、歴史や研究といったことだけではなく、人生や人間といったものすべてに対しての、相手(他者)に寄り添いつつ、既定の観念にとらわれずにその根底にあるものを探り続けるという姿勢に、何度もふれさせていただいたと思っています。

ぜひ1月27日のイベントで、多くの方に清水先生のお話をお聞きいただきたいと思います。詳細はこちらをご覧ください。お待ちしております。