2017年7月18日火曜日

書籍紹介『108年の幸せな孤独ーキューバ最後の日本人移民、島津三一郎』

今年の春先に書店で見つけた本ですが、個人的にかなり力を入れてお薦めしたい書籍があります。


『108年の幸せな孤独 ーー キューバ最後の日本人移民、島津三一郎』
(中野健太著、KADOKAWA、2017)

つい昨年まで、キューバに生きていた日本人移民の男性を取材したノンフィクションです。


男性の名は島津三一郎さん。戦前に新潟からキューバへ集団移民として渡り、108歳で生涯を閉じるまで、日本には帰りませんでした。

著者がキューバのフベントゥ島で島津さんに最初に出会ったとき、島津さんは「新発田中学の校歌なんです」と、うれしそうに歌を口ずさんでみせます。しかし、話が第二次世界大戦の話になると、「その話はやめてください」と、厳しい表情になるのです。

さらに、著者が日本でキューバ移民について調べるにつれ、“島津さんは新発田中学の卒業生ではない”可能性が浮上してきます。それなのに、なぜ、島津さんは新発田中学の校歌を歌ってみせたのか? 

1人の日本人の心と体に刻まれたキューバの歴史を知ることのできる本。そして、激動の時代の中、キューバの地にその生を刻んだ1人の日本人を知ることのできる本です。

書籍の帯(カバーの外側に巻いてある幅の狭い紙)には、「おい、島津! 生きろ!」というコピーが書かれています。書籍の最後、この台詞が誰のものだか知ると、胸が熱くなります。Amazonへのリンクはこちら