2018年6月14日木曜日

もういちど物語の世界へーーヤング・アダルト小説の話

一昨年くらい前から、出版関係の方や、直接に編集者としてかかわっている方から、ヤング・アダルト小説というジャンルについて話をお聞きする機会が増えました。日本ではあまり充実していないと言われる、ちょうど思春期にあたる年齢の読者に向けた文学のジャンルのことです。

話を聞くようになってから気になり始め、書店でもあらためてそのジャンルの棚を見るようになりましたが、ヤング・アダルトの棚というよりも、その頃、店頭のいちばんよく目立つところに置かれていた中の1冊が『Wonder ワンダー』(R・J・パラシオ著/中井はるの訳/ほるぷ出版)でした。なんと、明日から映画公開なのですね。


この本、読みたい、読んでみたい、でももう大人なんだし、もっと他に読むべき本があるのでは…、なんて思っているうちに日が経ってしまいましたが、つい先日、書店の販売員の方から、「社会人になってから本と言えば仕事の情報収集ばかりで忙しくて、物語を読む習慣をなくしてしまった大人に、ヤング・アダルトはもういちど小説を読む楽しみを取り返してもらうのに最適な本」という趣旨のお話を聞きました。

なるほどー、大人の文学再入門、というわけですね! 自分が難しい本が読めなくなっている言い訳かもしれませんが、この書店員さんの言葉はとても腑に落ちました。

というのも、今年2月に刊行された『ぼくを燃やす炎』(マイク・ライトウッド著/村岡直子訳/サウザンブックス社)、実は私、この本の編集段階でかかわらせていただいたのですが、ゲラ(書籍になる前の校正刷り)を読んで、とにかくもう涙が止まらなかったのです。こちらも、翻訳出版の候補として日本に紹介されたときには、「ヤング・アダルト」ジャンルの1冊とされていました。主人公は高校生、読者対象も中高生、ですが、自分とそのまわりの世界をめぐる葛藤と成長がリアルに胸に迫り、フィクションってすごい、物語の力ってすごい、とあらためて思ったのでした。

訳者の村岡直子先生は、イスパニカの通信添削クラス「童話で学ぶスペイン語」の講師をしてくださっています。村岡先生のような素晴らしい訳を作れるようになるまでの道のりは長い(!)かもしれませんが、楽しみながら学びたい方、せっかく身につけたスペイン語を忘れたくない方には最適なクラスです。

(また、学生時代にスペイン語を学んでいた頃と立場が変わった方…、もっと言ってしまえば母親になった、父親になった、という方にとっても、学ぶモチベーションが続きやすいクラスだと思います。自分の子どもに語りかけるつもりで訳文を作る…って、すてきじゃないですか?)

『ぼくを燃やす炎』の感想では、「訳が読みやすい」「一気に読める」という声多数。ぜひ、スペイン語学習者のために、原書とセットでイスパニカで販売したい…です。
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