2018年6月12日火曜日

メキシコの絵本翻訳出版プロジェクト

クラウドファンディングによって、世界中の優れた書籍を日本で翻訳出版することをコンセプトとしてかかげた「サウザンブックス」社さんで、イスパニカの本橋が発起人となったプロジェクトが準備中です。

以下、サウザンブックスさんのホームページから、部分引用させていただきます。

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世界では年間およそ100万点もの本が出版されており、
そのうち、日本語に翻訳されるものは5千点前後と言われています。
世界中には価値ある面白い本が溢れているにも関わらず、
専門的な本や新刊中心のマーケットの中で埋もれてしまった古い本など、
これまでの仕組みだけでは、翻訳出版が難しいのものが数多くあります。
サウザンブックスはそれら世界の本から、
独自に厳選したタイトル、みなさまからお寄せいただいたタイトルを、
クラウドファンディングのシステムを活用して購読希望の方を事前に募った後に、
実績ある制作チームの元に翻訳出版していくサービスです。


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今年2月に、イスパニカの講師でもある村岡直子先生による翻訳の『ぼくを燃やす炎』が出版されたのも、このサウザンブックスさんの企画によるものでした。


今回のプロジェクトは、メキシコ生まれの美しい絵本、“El libro negro de los colores(The black book of colors)”を翻訳出版するという企画です。

タイトルからして詩的で訳すのも難しい(!)のですが、〈カラフルで真っ黒な絵本〉という意味になるでしょうか。その名の通り、この書籍に使われている紙は真っ黒、そしてイラストに「色」のついたインクは使われていません。

この書籍の意義については、プロジェクトの紹介ページに掲載していただいていますが、その一部を引用します。

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目で見ることなく色を知る、感じる
世界の豊かさの意味を考えさせられる本


発起人、有限会社イスパニカ代表 本橋 祈より

絵本を読む「スペイン語多読の会」でこの本に出会ったとき、なんて美しい本だろう、と思いました。真っ黒な紙に透明なインクの隆起によって描かれているイラストは繊細かつ写実的であり、平山和子さんの『くだもの』(福音館書店、1981)が思い起こされました。

そして、銀色の文字で印刷された文章を読み進めて、この絵本が伝えていること、この絵本がもっている使命のようなものにも、軽い衝撃を受けました。

シンプルなスペイン語で書かれていたのは、目の見えないトマスという男の子にとっての色の世界でした。味や手触りとして語られる黄色、痛みと結びついている赤、音やにおいにたとえられる茶色。トマスにとっての青は、晴れた空を見上げてお日さまがほおに当たっているときの温かさのことなのです。

目の不自由な人にとっての色、それは決して認知できないものではなく、むしろトマスは、五感すべてを使って色を感じとっています。目で見ることなく、色を知る。感じる。認識する。そのことが、この絵本を読むことによって、小さな子どもにも伝わる仕組みになっています。

目が見えないということは色が分からないということではない。目の見えない人たちの世界の豊かさが、この絵本の文章とイラストによって、日本の多くの子どもたちに知ってもらえるとしたら、それはなんて素敵なことだろうと思いました。

子どもの世界を広げるのに大きな助けとなる絵本。メキシコで生まれたこの絵本を日本語で翻訳出版することで、日本の子どもたちの世界を広げたい。世界の豊かさの意味を子どもたちが考える機会になってほしい。そんな思いで、このプロジェクトを立ち上げました。ぜひ、一緒にこの美しい本の日本語版を作りましょう。

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現在はプロジェクト準備中ですが、ご賛同いただける方は、ぜひメールアドレスの登録をお願いいたします。「こちら」のページの「お知らせを受け取る」ボタンからご登録ください。→メールアドレスの登録は「こちら