2月22日の読書会に向けて、『人間失格』をスペイン語で読んでいます。
日本語では、はるか彼方昔に読んだ記憶が。
正直、その記憶を頼りにしている部分が大きいですが、
それでも、読んだときに書かれていることが分かる、というのは、
読むための大きなモチベーションになります。
読書会の企画が決まってすぐ、Books Kinokuniya Tokyo
(かつての紀伊國屋書店新宿南店)に問い合わせをして買いましたが、
表紙を見て、「あっ」と。
Traducción de Montse Watkins
(モンセ・ワトキンス訳)
モンセ・ワトキンスの名前を聞いたのは、
井戸が亡くなる直前、病床にいる本人の口からでした。
今、自分の葬儀の手配を進めている、と。
かつてモンセ・ワトキンスというスペイン国営通信社の記者が、
日本で亡くなるときに読経された和尚さんに、
私の葬儀でもお経を読んでもらうように頼んだの、と。
その後、井戸が事務所に来ることはありませんでした。
私が、病室を訪れることも数回しかできませんでした。
そのくらい、あっけなく、彼女は他界してしまった。
彼女の来られなくなった事務所を整理していて、
井戸とモンセさんの交友の跡ともいえる書籍を見つけました。
モンセさんの著した書籍を井戸が訳して世に出した『夢のゆくえ』。
京都外国語大学の「スペイン語世界のことばと文化」での特集。
井戸の病気が発症してから私が代表を引き継ぐまでは、
本当に短い期間しかありませんでした。
彼女のしてきた仕事の、ほんの一部しか聞けなかったし、
彼女の交友関係の、ごくわずかしか知ることができなかった。
それでもこうして、スペイン語にかかわり続ける限り、
きっと私は、いつでも、意図しなくても、
彼女の思いにつながっていけるのだと思います。