2017年2月17日金曜日

『人間失格』からつながる過去

2月22日の読書会に向けて、『人間失格』をスペイン語で読んでいます。
日本語では、はるか彼方昔に読んだ記憶が。
正直、その記憶を頼りにしている部分が大きいですが、
それでも、読んだときに書かれていることが分かる、というのは、
読むための大きなモチベーションになります。

読書会の企画が決まってすぐ、Books Kinokuniya Tokyo
(かつての紀伊國屋書店新宿南店)に問い合わせをして買いましたが、
表紙を見て、「あっ」と。


Traducción de Montse Watkins
(モンセ・ワトキンス訳)

モンセ・ワトキンスの名前を聞いたのは、
井戸が亡くなる直前、病床にいる本人の口からでした。
今、自分の葬儀の手配を進めている、と。
かつてモンセ・ワトキンスというスペイン国営通信社の記者が、
日本で亡くなるときに読経された和尚さんに、
私の葬儀でもお経を読んでもらうように頼んだの、と。

その後、井戸が事務所に来ることはありませんでした。
私が、病室を訪れることも数回しかできませんでした。
そのくらい、あっけなく、彼女は他界してしまった。

彼女の来られなくなった事務所を整理していて、
井戸とモンセさんの交友の跡ともいえる書籍を見つけました。
モンセさんの著した書籍を井戸が訳して世に出した『夢のゆくえ』。
京都外国語大学の「スペイン語世界のことばと文化」での特集。


井戸の病気が発症してから私が代表を引き継ぐまでは、
本当に短い期間しかありませんでした。
彼女のしてきた仕事の、ほんの一部しか聞けなかったし、
彼女の交友関係の、ごくわずかしか知ることができなかった。

それでもこうして、スペイン語にかかわり続ける限り、
きっと私は、いつでも、意図しなくても、
彼女の思いにつながっていけるのだと思います。